長期修繕計画の概要とその内容について

 長期修繕計画の概要とその内容について

「建物の長期修繕計画」の重要性について

「建物の長期修繕計画」はなぜ重要なのでしょうか?
 建物はその経年とともに建設当初の機能が徐々に低下してゆきます。この現象は「経年劣化」と呼ばれ、その進行を止めることはできません。劣化の進行をそのまま放置し続けるといろんな障害が発生して建物全体の機能を損ねるだけでなく、その資産価値をも著しく低下させることにもなります。
 しかし、適切なタイミングで修繕や更新を実施し、この低下した機能を回復させることによって建物の寿命を延ばすことが出来ます。トップに戻る

坂道
※毎朝お届けする水彩画 四季水彩より

 そのために、一般に「長期修繕計画」と呼ばれる、建物各部について、建物の生涯期間中に予想される経年劣化の進行度に合わせた修繕などのケアの時期を表記した計画表を予め作成しておき、それに基づいた建物の維持・管理と共に修繕費の資金計画をも併せて準備しておく手法が汎く採用されています。

 建物を長期間にわたって快適で安全な居住空間として維持し、また、大切な資産としての価値を保全してゆくためには、建物に対する長期修繕計画をたてて保守・点検や経常修繕を適切なタイミングで行ってゆことが重要です。
 更に、分譲マンションなどの管理組合ではこの計画に基づき無理のない「修繕積立金」を計画的に準備しておくことが大変重要となります。
 長期修繕計画がないと、修繕工事の適切な実施時期が判断できないばかりか、将来の修繕工事に必要な額の修繕積立資金が確保できない、などという事態に陥ってしまうことにもなりかねません。

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※毎朝お届けする水彩画 四季水彩より

長期修繕計画とは具体的にどのようなものなのですか?

 長期修繕計画の具体的な内容は、修繕工事の対象となる部分・個所(例えば屋上の防水、鉄部の塗装、外壁タイルやサッシュ廻りシーリングなどの建築工事、給・排水管の取り換えや電気設備の取り換え等の設備工事、駐車場や駐輪場の補修等の外構工事などの)に分類された単位ごとに、通常、その建物の使用期間である30年から60年の期間中のいつ頃に保守・点検調査や経常修繕を実施すべきかを、その工事費用(概算額)と共に事前に作成しておく、いわゆる『建物の健康・維持生涯プラン表』のようなものです。トップに戻る

長期修繕計画とはいつ作成するものですか?

 本来、長期修繕計画は建物が建てられた当初に用意されておくべきものです。
 もしもまだお持ちでないのなら、できるだけ早い時期に作成しておくことをお奨めします。 なぜならば、建物の竣工直後であれば、修繕工事の対象となる部位や個所の数量および工事費用など、長期修繕計画の作成に必要な正確なデータや情報が手に入り易いからです。
 かなりの期間が過ぎてからでは最悪の場合、最初から建物各部の数量を拾い直さなければならず、計画の作成に多大な費用と時間・労力が必要になってしまう可能性があるからです。トップに戻る

さくら
※毎朝お届けする水彩画 四季水彩より

長期修繕計画はだれが作成するのですか?

 個々の建物に適した長期修繕計画を作成するためには専門的な知識が必要になりますので、作成業務は外部の専門組織(ビル管理会社、マンション分譲会社、施工会社、設計事務所、その他NPO法人などの公的団体等)に委託する場合が多いようです。
 しかし、作成の主体はあくまで建物の所有者である企業や分譲マンションの場合はマンションの管理組合です。トップに戻る

長期修繕計画は一回作成すれば終わりですか?

 いいえ、長期修繕計画は建物の経年に伴い見直しが必要です。長期修繕計画上の修繕の実施(予定)時期は一応の目安でしかありません。
 建物の部位や設備の劣化進行の状況は、建物の個々の部位のおかれている環境状態等によっても劣化の進行度が異なることもあるため、個々の修繕周期を見直すことも必要です。
 建物の部位や設備の劣化の進行状況によっては予定を繰り上げて修繕工事を実施したり、場合によっては実施時期を数年先送りしても良い場合もあり得ます。
 また、修繕費用についても取り巻く経済情勢の変動によっては長期修繕計画のとおりになるとは限りません。このため、長期修繕計画は定期的(概ね3年~5年ごと)に見直し、できるだけ常に現状を反映させておくことが大切です。更により正確な長期修繕計画の見直しは、大規模な修繕の実施が予定されている時期の数年前に実施される、建物部位に対する「劣化診断調査」の際と、大規模修繕実施直後に行われるのが一般的です。

 なお長期修繕計画の見直しの際の更に重要なこととしては、過去においてその部位に発生したトラブルや実施された修繕・補修工事の履歴情報(いわゆる建物のカルテ記録)を修繕計画に活かすことです。
 しかし、これらの履歴情報の維持・管理を主体となって行うのはビル管理会社や施工会社などの誰でもなく、ビルオーナーマンション管理組合ご自身です。(なぜならば、特にマンションの場合は、たとえ管理会社と言えどもその管理会社を通さずに発注された工事の詳しい情報については把握されておらず、ましてやそれらの記録・保存までをも彼らに期待することなどは到底望めませんから・・・)

 長期修繕計画は建物維持保全サイクルの各フェーズにおいても活用される重要な情報として位置づけられています。長期修繕計画の活用方法については、「長期修繕計画の活用方法」のページも参照ください。
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